パグ犬 タローが教えてくれたこと

生命の危機を何度か乗り越え、快食・快便、20歳に向け順調な日々を送っていたパグ犬タロー。それが、たった一日食べなくなって……。愛犬との日々を振り返りながら、老犬との暮らし、介護のヒントにもなればと考えています。

大事な鼻が〝地層〟と化す!? 

かさぶた鼻のアップ

 ワンコの健康状態を知る目安の一つに、鼻があります。


「鼻が濡れていれば元気な証」ということ、聞いたことありませんか? 

 

タローを飼うまでは、私もそう思っていました。

ところがタローを飼ってみたら、確かに若いうちは黒々と湿り気を帯びていましたが、成犬となり、7、8歳頃になると頻繁に瘡蓋(かさぶた)が出来ていたような……。 


パグ犬は鼻の上の溝に垢が溜まると悪臭を放つため、彼が小さい頃は鼻の周囲もおでこのシワと合わせて、気がつけばお手入れしていましたけれど、

いつの間にか手抜きするようになっていたんですね。トホホ。 


なぜ、「鼻が濡れていれば元気な証」と言われるのでしょうか?

検索してみたら、匂いを感じやすくするために、犬の鼻は濡れているのだとか。

加えて熱を放出して体温調節をする、という役割もあるそうです。 


濡れている状態を保つからには、体の中から自然と分泌される仕組みになっているのだろうと推測したら、やはりそうでした。 

涙が目の表面を守るために分泌されるように、涙成分と汗のような成分が混じり合った分泌物が、常にワンコの鼻を濡らしているみたいです。

そのほか、「自分で舐めて濡らすこともある……」。 

という文言を目にして、大いに合点しました。タローはよーく鼻を舐めていたんですよ。

目が覚めたらペロペロ、ご飯を食べたらペロペロ、オシッコの匂いを嗅いではペロペロ。

ことに大好きなワンコの時は、まるで「しびれるぜぇ」と言わんばかりに、鼻をペロペロしながら体を小刻みに震わせるのです。
しかも恍惚の表情を浮かべながら!!(笑)。 

大きく鼻を舐める

小さく鼻を舐める

自分でペロペロ舐めて、鼻のお手入れのつもりだったのでしょうか

タローの変態ぶりはともかくとして、しょっちゅう鼻を舐めていたにも関わらず、

彼の鼻は湿り気を取り戻すどころか、繰り返し繰り返し瘡蓋が生じました。


犬友から「タロちゃん、お鼻を怪我したの?」と尋ねられるくらい、ぺちゃんこ鼻全体を覆う大きさまで成長することもありました。 

よく見ると、その瘡蓋も何層かに重なっているではありませんか!!


取ろうとすると、タローは顔を激しく振って嫌がります。

我が家ではそれを〝地層〟と名付け、放っておきました。自然に剥がれ落ちるのが分かったからです。だけど鼻に瘡蓋のない期間は短く、また新たな〝地層〟が形成されます。 


ワクチン接種のためか何だったか、かかりつけの獣医を訪れた時のことでした。タローを抱えて処置室を出てきた獣医が、済まなそうな顔をして言いました。 

「タロー君の鼻を綺麗にしてあげようとしたら、瘡蓋状のものは取れましたが、血が滲んでしまいました。いちおう消毒はしてあるので心配ないと思います」 

鼻の瘡蓋を取って欲しいと頼んだ記憶はありませんから、おそらく以前から気になっていたのでしょう。

今にも崩れ落ちそうなほど、盛り上がっていたのかもしれません。 

鼻のアップ

〝地層〟はご近所さんにも、かかりつけ医にも認知されていたよう

瘡蓋の痕跡に血がうっすら滲んでいるなんて、ワンコの鼻には血管がたくさん集まっていることがよく分かります。
犬の嗅覚は人間の1億倍という説もあり、そんな大事な器官を〝地層〟と化すほど放ったらかしにするとは、やっぱりトホホな飼い主ですね。