食べることは生きること、だよね~~
季節の変わり目って、体調を崩しやすいですよね。人間だけでなく、犬も同様です。
タローも冬から春へと季節が移る頃、19歳の誕生日を迎える1カ月ほど前、
「もうダメか……」
と覚悟する事態に陥りました。
2、3日くらい前から少し食欲が落ちてきたなと感じてはいましたが、体調によって彼自身自ら食事量を調整する節があったため、もう1日様子を見てみようと――。
そしたら、あらららら。まったく食事を口にせず、水分もほとんど摂らなくなってしまいました。
呼吸はやや深く荒くなり、ゼロゼロと喘鳴のような音がする……。
おそらく熱も出ていたでしょう。
翌日、慌ててかかりつけ医に診てもらうと、
「白血球がとても高い。どこかに炎症があるせいだけど、どうも肺や気管支ではなさそう。抗生物質を投与して、それが効いてくれれば……」。
獣医の厳しい表情から、タローの容態がただならぬことを知りました。
「19歳の誕生日、なんとか迎えさせてあげたいね。明日は休診日だけど、朝9時に連れて来られる?」。
先生の言葉に大きく頷きながら、抗生物質と輸液の注射をしてもらうため、寒の戻りで真冬並みの低温が続く中、連日、動物病院へ通い続けました。
入院させなかったのかって? それはまったく考えませんでした。
もちろん最悪のケースも頭をよぎりましたが、彼の最期は自宅で看取りたいと思っていたので、病院に預ける選択肢はなかったですね。
8日目のことです。
目覚めたタローに水を飲ませようとしたら、容器を持っていた私の指をペロペロと舐めました。
試しに彼の口に指を入れたら、食べ物と間違えたのか、噛もうとするじゃありませんか!これは食欲が出てきた証拠です。
思わず「やったー!!」と叫びました。
さっそく獣医に報告すると、シリンジで缶詰のペースト状高カロリー食をゆっくりと与え始めました。
タローの喉元がゴックン、ゴックンと上下に動きます。シリンジ1本分をむせることなく平らげたのを見届け、
「これで一安心。タロー君、頑張ったね」と喜んでくれました。
初めての流動食、トホホな飼い主の手作りでしたが、抵抗なく食べ始めたタロー爺さんは4月19日、無事に19歳の誕生日を迎えることができたのです。
寒さ暑さはもとより、恋のシーズンでも食欲旺盛。
はたまた嘔吐や下痢をしても、出した分をまるで取り戻すかのように食べていたタロー。
1週間もの長い間、何も食べなかったことなど、彼の犬生において一度もありませんでした。
彼の寿命をつないだのは、間違いなく食べることへの執念、食べられなくなったときのトラウマ(笑)、だったのではないかと思います。