ついに一周忌が来た!!③ みんなに良くしてもらったね
法要に参列するのは、亡き骸を運んだ日と秋の彼岸に続いて3回目です。
読経の時間は変わらずたっぷり、丁寧でした。
本堂を後にすると、秋の日は早くも傾き始めています。
急いでお塔婆を納め、お花とお線香を供え、供養塔に手を合わせました。
少し冷えてきたのか、いつもは納骨堂の入り口か近辺にいる猫ちゃんも姿がありません。
見事に色づいた銀杏の大木を見上げながら、タロー爺さんと過ごした最晩年の日々を思い出します。
少量を数回に分けてあげるのがいいと聞いてから毎日、流動食を6回~8回作りました。
彼が目を覚ますと、休む暇なくご飯を作っていた気がします。
その間も排尿や排便の世話をし、ベッドのおしっこシーツとバスタオルを取り換え、その洗濯にも追われました。
生死をさまよった後、無事に19歳の誕生日を迎えてからも鍼灸治療を施してもらうため、動物病院へは週に1~2回は通いました。
初めて鍼を打ったとき、タロー爺さんはそれこそ地獄の底から聞こえてくるような(苦笑)、抵抗の鳴き声を上げたものです。
ところが慣れるにしたがって、静かに鍼を打たせるようになり、お灸に至っては気持ち良くなるのでしょう。
スヤスヤ寝入ってしまうことも少なくありませんでした。
すっかり動物病院の常連と化したタロー爺さん。
彼が満19歳過ぎの高齢犬であることを知ると、待合室に居合わせた皆さん、一様に驚きの声を挙げられます。
「何を食べているんですか?」といった質問をされる方もいれば、「あやかりたいわ」「20歳まで頑張ってね」など、彼の体を撫でてくださる方もいました。
11月末日、動物病院で知り合ったワンコと飼い主さんが突然、散歩の途中に立ち寄ってくれたのです。
「確かタローさん、亡くなったのは11月でしたよね。去年はお花をあげられなかったので」と、花束を差し出されるではありませんか。
「えーっ、そ、そんな……!!」
言葉が続きません。ひたすら、ひたすらありがたく、でも遠慮なく受け取りました。
タロー、君は本当に幸せなワンコです。君が死んだ月を飼い主以外の方も覚えていてくださるなんて。
同時に、ハル婆やも幸せな飼い主であることを実感する、サプライズな出来事でした。