長生きの秘訣⑤散歩編2 キーワードはストレスフリー
散歩のルートや時間は、用事があるときはハル婆やに付き合ってもらうものの、基本的にタローが決めていました。
「えーっ、そんな癖をつけたら、言うことをきかなくならない?」
と犬友に言われたりしましたが、心配は無用です。
こちらに用事がある場合、
たとえば早く切り上げたいときや散歩のついでに郵便局へ寄りたいときなど、ひたすら彼に「今日は言うことをきいてください!」とお願いするのです。
最初こそ少し抵抗するものの、比較的素直にルート変更や時間短縮を受け入れてくれました。
その代わり用事がないときは彼が行きたいルートで、彼が満足するまで付き合う。
こうしてタローとの間に、信頼関係が生まれたように思います。
ペットにとって、散歩は日差しや風を受け、草や地面、仲間の匂いを嗅いで、犬の本能が呼び戻される貴重な機会という説を目にしたことがあります。
とすれば、たとえ都会暮らしでも、なるべく彼が本能の赴くままに行動できる状況にしてあげたい。
タローの長寿に散歩が寄与したとすれば、それはストレスの少ない散歩だったからではないでしょうか。
彼の散歩コースは自宅を中心に東西南北に張り巡らされ、散歩はあたかもパトロールみたいな感がありました。
とんでもないところで知り合いの方にお会いすると、「あらタローちゃん、こんなところまで散歩に来るんだ!!」。驚かれたり、呆れられたり……。
あちらこちらに出没することで有名でした。
もう一つ彼の散歩で思い出すのは、「お前は匂いフェチか?!」とツッコミを入れたくなるくらい、匂いに執着したことです。
たとえば電信柱や植え込みで気になる匂いがあると足を止め、クンクン嗅ぎ始めます。左側から嗅いだら、次は右側からと角度を変えて念入りに嗅ぐ。
時にはペロッと舐めて味見も。
一周回って再び嗅ぎ出すこともあり、5分くらい経過するなんてざらでしたし、通行人や掃除中の人に顰蹙を買うことも多々ありました。
主に仲間の尿跡を嗅いでいるのですが、尿の匂いには性別や年齢など、様々な情報が詰まっているそうです。
つまり、それを嗅いだり舐めることによって、タローは情報収集していたわけですね。
彼の縦横な散歩が何となくパトロールのようだと感じたのは、あながち間違っていませんでした。
そして嗅いだ場所には必ずマーキングする。
それは当然でしょう。本能的な行為ですから。
散歩しながら「おっ、あいつが今さっき通ったな」「うひょー、大好きな●●ちゃんが近くにいるかもしれない」など、タローの頭はフル回転していたにちがいありません。
飼い主さんが自転車に乗って、ワンコを走らせている光景を時々見かけます。脇目も振らず一生懸命に飼い主さんの自転車を追いかけるワンコ。
「スゴイな~!」と思う反面、「はたして楽しいのか?」と感じるのも事実です。
走力のトレーニングとしてはいいのかもしれませんが、途中で気になる匂いがあっても嗅ぐのを我慢するわけですよね。
同様に、散歩でワンコが匂いを嗅ぎたくて止まると、ご主人がリードを強く引っ張って歩みを止めさせない、いわゆる”躾”にも、ハル婆やはなんとなく引っかかるものがあります。